SPECIAL CONTENTS新型コロナウイルス 
そのとき、横浜銀行は—。
新型コロナウイルス感染拡大下において
いかにお客さまに寄り添い支援するか
既存の取引先企業を対象とした新型コロナウイルス緊急資金の取り扱い。医療機関等への支援を目的とした資本性ローンの創設。
中小企業や個人事業主のお客さまに自治体の融資制度を活用した実質無利子融資をおこなうための資金繰り相談窓口の設置。
新型コロナウイルス感染拡大により業績に影響を受けるお客さまや、
経済活動の停滞が起きている地域を救うため、従来の制度や枠組みを超えて迅速に対応した横浜銀行。
こうした施策はどのようにして決定され、実行されたのだろうか。
法人のお客さま向けの商品・サービスの企画を担う営業戦略部・法人取引推進企画グループの目線で、その過程を追った。

※紹介行員のインタビュー内容・所属等は取材当時のものになります
プロジェクトメンバー
  • 営業戦略部
    副部長

    T.I
  • 営業戦略部
    法人取引推進企画グループ
    ビジネスリーダー
    T.M

地域経済を支える金融機関としての責務を全うするという決意

緊急事態宣言発令1カ月前の2020年3月6日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けた法人および個人事業主のお客さまを対象に、横浜銀行が取り扱いを開始したのが1億円を上限とする『新型コロナウイルス緊急資金』だ。このファンドの特徴は、お客さまへスピーディーに回答することと権限にあった。営業店が稟議を上げて本部が審査するという形でおこなわれていた一定金額以上の融資を、営業店の判断で実行できるようにしたのだ。

I:「新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けているお客さまにできるだけスピーディーに回答するため、地域のお客さまの状況を最もよく理解している営業店の裁量を拡大したということです。新型コロナウイルスの見通しが利かず、貸し倒れのリスクが高まるのではという意見もありましたが、地域の金融システムを支える金融機関としての役割を担うことを最優先し決断したのです」

M:「営業店の裁量拡大の可否と、ファンドの内容(融資額、利率、取り扱い期間など)は本部の企画部門、審査部門、リスク管理部門を集めて協議を重ね、約1週間で枠組みを決定しました。運転資金の不足という不安を抱えるお客さまを救うための施策なので当然ですが、議論の数と決断までのスピードは過去例にないもの。1カ月分の議論を1週間で完遂した感覚でした」

『新型コロナウイルス緊急資金』は、短期間で想定以上の残高を計上した。

M:「ファンド新設後は、営業店からの問い合わせに対応していました。取組条件に合致するのか否かの判断が難しいケースもありましたが『資金繰りに困っているお客さまに対し、スピーディーに資金協力することができ、大変感謝された』など、営業店からの声を聞くたびに『本企画がお客さま・地域経済のため貢献できている』と実感しました。」

地域の中堅・優良企業と医療機関を、何としても助けたい

4月末には、ビジネスエクイティローン(最長15年間は元本返済不要等)の枠組みを変えるという形で、新たな危機管理型資本性ローンを創設。これまで対象としていなかった財務基盤が安定している中堅・中小企業のお客さまを、資金繰りと資本の両面から支え始めた。

I:「新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて資金繰りに追われた法人のお客さまの多くは、赤字になり自己資本が毀損(減少)していく可能性があります。それをカバーするために、もともとラインナップしていた資本性ローンの対象を予防的に財務基盤が安定している中堅・優良企業のお客さまにまで拡大しました。本商品は、先行きが見通せない中、中長期的な観点で資金繰りや財務基盤に不安を感じているといったお客さまの声を反映し、設計しました。」

その後、横浜銀行はこの危機管理型資本性ローンをベースに、病院型資本性ローンを創設。目的は、新型コロナウイルスの感染者対応を最前線でおこなう地域の中核病院の支援だった。

M:「多くの患者さまを受け入れることによって経営が圧迫されていくという不条理な現実と向き合い、奮闘しておられる医療従事者と病院を支援してほしい――。この病院型資本性ローンは、当行の役員とソリューション営業部の医療担当チームのそんな願いを形にしたものです。銀行にとっては正直リスクの高い商品とはなりますが、実質無利子・無担保融資が適用されない医療機関のお客さまを支える材料の一つになっていると実感しております」

実質無利子・無担保融資の相談窓口のサポート役として新入行員も活躍

新たな資本性ローンの創設と並行して進められていたもうひとつの施策が、『新型コロナウイルス資金繰り相談窓口』の設置だ。これは、信用保証制度に基づく制度融資を経産省が補助することによって可能になった実質無利子・無担保融資の相談窓口で、対象はこれまで横浜銀行と融資取引のなかった中小企業・個人事業主のお客さまへと拡大。窓口は県内7カ所に設置され、本部の行員約30名を中心にその対応にあたった。

I:「窓口を立ち上げるまでの1カ月は、役員を含めて早朝からミーティングをおこない、議論を重ねました。最終的に7カ所・30名に決定しましたが、緊急事態宣言が発令され、銀行としても出勤者を抑制しなければならない状況で新たな窓口を作って人員を投入していいものか、本当に難しい判断でした」

特筆すべきは、当時1カ月前に入行したばかりの新人行員をサポート役として登用したことだろう。
M:「窓口を開設して間もなく、お客さまからの相談が想定以上に多く、対応する人員が不足している状況から、人財部へ新入行員の登用を依頼したところ、快く承諾してくれました。本来は配属先の営業店で実務を経験(OJT)しながら研修を受けている時期ですが、新型コロナウイルスの影響で例年とは異なり満足なOJTが実施できない状況でしたので、それならばやってもらおうと」

I:「対応してもらう新入行員には急遽作成した研修プログラムを全員に履修してもらいました。電話応対などが中心でしたが、藁にもすがる思いで融資の相談に来られたお客さまと向き合ったことは、彼らにとって大きな財産になったはず。新入行員に感想を聞くと『お客さまに感謝されて嬉しかった』という声が圧倒的でしたし、結果的に例年以上に中味の濃いOJTになったと思います」

現在、資金繰り相談窓口の業務は各営業店が引き継いでいるが、緊急的な手当ては終わり、横浜銀行の新型コロナウイルス関連の施策は次のフェーズに入った。

I:「未曾有の事態を通じて、これからはお客さまの潜在的な経営課題が顕在化してくる可能性があります。なかにはM&Aや転業、廃業という会社の存続をかけた選択をされるお客さまもおられるでしょう。当行はその経営課題をお客さまと一緒に考え、その経営課題を解決するソリューション(商品、サービス、施策等)を企画するのが私たちの仕事だと思っています」
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